嫌よ嫌よも好きのうち
こんなひねくれ者の私にも、友達はいる。なんだったら多い方だ。沈黙が嫌いだから人がいるとペラペラ話してしまうからだろうか。一応親友と呼べそうな人も何人かいる。
大学のサークルで知り合った[R奈ちゃん]。
お目目が大きくてビジュアルはお人形さんみたいな感じ。
大きさは私の数倍小さい。一応人間。
はじめは私と仲の良かった不思議系芸術型少女[Y]を介してだった。
そのうち私と[R奈ちゃん]でいる時間が増えて、最終的にはよく一緒にいるよねとセット呼ばわりされるほどになった。
とはいうもののお互いにサークル外での友人も多いし、大学も違ったし、共通で仲良い子が多い訳でもない。私はサークルの後輩と結構仲がよかったりするけれど、[R奈ちゃん]はプライベートでの付き合いはそんななさそう。あと[R奈ちゃん]は飲兵衛だから飲み会へのフットワークが軽い。私は飲み会嫌い。ね?結構なんで仲良しなの?みたいな感じじゃない?
まぁなんか波長が合った。好きなジャンルは違うけどお互いの趣味は観劇、アイドルも好きだし、ファッションも好き。女子校出身だし。二人で短い道のりを迷って迷子になったり、家事をしないがために使い方が分からなかった電子レンジの前にふたりで立ちすくんだこともある。ちゃらんぽらんだ。
私は彼女のように容姿に恵まれている訳でもなく、サークルにいる子たちほど自意識過剰でもないから、自分のことがあまり好きではない。加えて嫉妬もするし、拗ねるし、ものすごく面倒な人間だ。
私の就活は本当に苦難だらけだった。夢に向かって突っ走り、たかがMARCH以下の女子大生には手の届かない場所ばかり目指していた。みんなが内定の話をし始めてからも私には内定がなかった。要領の悪さ努力不足色んなことが原因だったけれど、私の中でなにかがキレた瞬間があった。
就活スロースターターだった[R奈ちゃん]が速攻内定をとってきた。
私とは違う業界だし、関係ない…。でも私は努力しているし!!あの子だって私と同じようなもんじゃん…。悔しいというか、世の中がとにかく理不尽に思えた。
その日を境に私は友達と連絡を取らなくなり、道端で急に泣き出したり、死にそうになって遠い友達(顔を合わせなくて済む子)に電話したりとかなり情緒不安定になった。顔が可愛いからだ。全然努力してないくせに。こう思って自分の落ち着かせようとしたけど、みじめになっていくだけだった。超メンヘラだった。*1
どん底にあった6月。 [R奈ちゃん]は屈託ない笑顔で私の誕生日会を開いてくれた。行くかどうかすごく迷ったし、正直あの日は心から楽しめた訳ではなかったけど、でも久しぶりに友人と話す機会を設けてもらい、少しずつだけどなんだか元気になっていった。
秋に[R奈ちゃん]のお誕生日があったから私はお手紙を書いた。素直に書いた。たぶんあなたに嫉妬してました、気を遣わせてしまったかもしれない、でもお友達でいたいです。みたいな内容。泣いたって言ってたな~(狙い通りです)。
結果的に私は夢をかなえたものの、完全に挫折し、1年あまりで退職することになった。
でも彼女にとってはそれがすごく刺激的だったみたい。
今まで自分と同じようにピーヒャラしてた私が単身兵庫で働いていたことが。
毎日泣きわめき、たまに本気でやりがいを感じ、毎週のように休日出勤をし、仕事を忘れようと空いたわずかな時間で遊び倒し、それによって疲れ果て衰弱していく私を見て、「私[R奈ちゃん]、このままじゃダメだ~」と思ったらしい。そして関東に帰って来た満身創痍だった私をねぎらってくれた。褒めてくれた。
この[R奈ちゃん]の思いをラインで聞いたとき、なんだか知らないけど嗚咽するくらい泣いた。自分のことが好きではない私は勝手に人と比べて劣等感を味わっていたみたい。肯定されることに慣れてないから、どうしていいかわかんなくなって泣いちゃった。
そうして[R奈ちゃん]は一人暮らしを始めた。
まな板買ったのに包丁はないし、初めての洗濯では洗剤を入れ忘れ水洗いした。
相変わらずちゃらんぽらんだ。
一人暮らしを始めたところで「[R奈ちゃん]はそのまま」だ。
自己肯定がなかなか出来ないからこんな物言いしかできない。でも褒められたら泣いちゃう。私結構可愛いトコあんじゃん~♪
自分でも気づかなかった自分の気持ちを[R奈ちゃん]に気付かされた。
なんだろう…悔しいな~。
結局私はこのちゃらんぽらん少女に一生勝てない気がして、そしてまた卑屈になる。
(これ私なりの愛情表現)
*1:かまってほしくなかったからメンヘラの逆かも…。