知らざぁいって聞かせやしょう

毎日悶々としてるんだよね

ドラマチックに生きるな!!!

私の好きな歌舞伎役者は、若い頃やさぐれて一度歌舞伎から距離を置いている。

そんな彼のエピソードを聞いて、記者はこぞって同じ質問をする。

「歌舞伎をまた始めようとしたきっかけは?理由は?」

 

彼曰く、そんなものはないらしい。その時の気持ちを大切にした結果。

よく偉そうに自分の半生を語る奴らがいるけれど、確かにほとんどの奴らはその時の気持ちに正直に生きた結果にあとから理由を付けているだけな気がする。

 

中学校の頃、桃ちゃんがこんなことを言ってた。

「恋ってきっかけは全部ひと目ぼれなんだって。好きになった理由は、あとから考えてるんだって」

恋も人生も全部いっしょ。本当に素晴らしいものを観たとき、「ここがこうだからよかった」なんて瞬時には思わない。「やべぇえええええ!!!!」間違いなくこれが心の第一声だろう。

このロマンチックな桃ちゃんの発言は、とってもリアリティ溢れる言葉だったんだね。

 

転職活動の最中に何度も言われたことがある。

「どうしてそんな華やかな業界にいたのにうちを受けるんですか?うちでいいんですか?」

 

これが私のリアルだからだ。人に夢を叶えたと崇め奉られいい気分になったのもつかの間、私は会社を辞めたのだ。夢を叶えたのに辞めたのだ。

そして私は、あんたたち曰く華やかでない地味な仕事を求めてるんだ。

 

卒業式後の3月末まで就活を続けた。とにかく頑張った。

「夢を追ったり、目標を成し遂げたり、そんな大きなことをしてきたのにどうして事務を希望するんですか?」

 

別におっきいことなんかしてない。

内定をもらってから上司にグループ面接の空気が良かったって言われた。私は同じグループに居た、のちに同期となるひとたちのおかげで受かったんだ。

全部たまたま。特にこのために努力してきたことなんてひとつもなくて、それこそほんとにそのときあった力を全て発揮してただけ。てかその時の気分。書類出したのも、通過したのも、試験受けたのも、ぜーーんぶ。

 

面接官はみんな私を過大評価する。

「すごい経歴ですよね~」

いやいや、すごくないし。証拠にもう辞めてるし。

職場でもそうだった。

「こんなに気が利くのに、センスがあるのにどうして辞めちゃうの?」

私は本当はそんな人間じゃないの!!!!気遣い出来ずセンスもなんもない普通の人なの。

 

退職した日に上司からラインが届いた。

「次の職場ではありのままの○○さんでいれますように」

 

 退職理由はある。考えればいくらでも出てくる。でも一番は

「その時のわたしの気持ち」

 

ただついこないだまで、私は自分の人生を小説にでもできると思っていた。

激動の人生、たった24年間で人生ここまで変わる。どん底も頂点も味わえる。

まるでジェットコースターロマンス!!!!

 

でもそれってただの現実で。あとからあのときどん底だったわ~頂点だったわ~って思い出も美化したり劣化させていい言い回しにしてるだけで。毎日をただがむしゃらに過ごしてきたに過ぎないんだ。

 

 

冒頭の彼が歌舞伎役者としてこの世に生まれ落ちた時点でわたしたちぱんぴーはドラマを感じる。宝塚ファンの私からしたら、母親が元タカラジェンヌとか夢の夢の夢×5くらい。でもそれが彼にとってのリアルであり、日常なんだよね。

 

 

最近ちまたに(特にSNS上に)はびこる、悲劇のヒロインぶってるやつら。

現実を冷静に判断し、受け入れる能力が大きく欠如している方々は、たいてい物事をおおげさに言う。オーバーリアクションとは違う。おおげさに捉えているんだ。かつての私と同じように。

 

ドラマチックに生きるな!!!!!

日々の現実から目をそらさずに、自分自身を見つめるんだ!!!

 

劇的な人生なんてありえない。

途中までそのときの気持ちとほんの少しの運だけでジェットコースターのような人生を送ってきた私は

ノンキャリア、ノンスキルの限界を感じて次のステップへ進みます。

 

本当はドラマチックに生きたい。私にだって夢や希望がたくさんある!!!

でも、でも…

ようやく本当の現実を知った私は、もうドラマチックに生きれない…。

 

 

 

おもしろいことないかな~。今週の運勢を思わずチェックする私。

無理とは分かっていながらも心のどこかでドラマチックを求めてる。